2003年から運営を続けてきたイーココロ!のサービス終了を本日発表しました。この世に産み落とした我が子との別れのようで悲しくもありながらも、この12年間にこつこつとユーザーの皆様と生み出してきた価値を考えると、感慨深いものがあります。12年で生み出された1億円以上の寄付金で、世界でどれだけの木が飢えられ、どれだけの地雷が撤去され、どれだけの食糧やテントや衣料が傷ついた人々に届けられたことでしょう。そのような直接的な世界への貢献とは別に、私を含めた多くの人が、イーココロ!を通じて、世界の現実と出会い、向き合ったことと思います。毎日こつこつとクリックして募金した、お買い物などで募金した一つひとつの想いはきっと世界に届いたことと思います。

photo02 (1)これまで書き尽くせないことがありました。2003年3月、アメリカがイラクに戦争をしかけた直後にイーココロ!は平和を願い誕生しました。その年の暮れには私自身がイラクを目指しました。NGOを支援しながらも、現場を知り、伝えようとスマトラ島沖地震後には甚大な被害のあった場所の一つ、スリランカの最南端の町での緊急支援活動を視察しました。その他、バングラデシュ、パレスチナ、ヨルダンなどの現場を歩きました。

現場を歩く度に、心を痛める現実に直面することもありましたし、逆に厳しい現実にもかかわらず活き活きと人生を楽しもうとしている現地の人々に勇気づけられたこともあります。すべての出会いがかけがえなく、懐かしく、貴重でした。

photo02私がイーココロ!を開始するきっかけとなったガザ地区については、格別な思いを持ち続けています。残念なことに、ガザ地区は1999年の初訪問以来、状況の悪化が続き、去年夏のイスラエルによる攻撃で過去最悪の被害がありました。これまでに家、学校、発電所、工場、橋、空港、病院など、ありとあらゆる建造物が破壊され、もちろん尊い人命も失われました。

ユナイテッドピープル創業の原点とも言える、ガザ地区で生きる人々が傷ついてく様子を知る度に心を痛め、涙してきました。ガザ地区を見る限り、いくら寄付金があっても足りない。紛争が終わらない限り、お金は無限に必要だという現実に悩んできました。寄付が無駄だという意味ではなく、紛争中や戦争中の地域では、戦争を止めない限り、永遠と支援対象が増え続ける現実に直面し、2006年末のガザ地区再訪問以後、こういった問題にはアプローチの方法を変えなければならないと思い始めていました。

そこで出会ったのが映画でした。世界には”放火魔”がいて、常に放火し続けています。誰かが火をつけたら、誰かが火を消さなければなりません。しかし、いくら火を消し続けても、放火魔を捕まえない限り、火消しの活動の終わりは見えません。”放火魔”とは国であり、企業であり、私たち自身かもしれません。意識的に、無意識的に、自分たちの幸せのために誰かを傷つけているかもしれない。地球を破壊しているかもしれない。そういったことに気づき、私たち自身が変わることが、この世界から”放火魔”をなくし、結果的に火消し活動が必要なくなる世界をつくることなのではないか。そんな気づきを与えてくれる道具としての映画の大きな力を活かし、変化を生み出そうと2009年から映画事業を始めました。

継続か、終了か。イーココロ!をどうしていくべきか、ここしばらくの間悩み続けてきましたが、ついに苦渋の決断をしました。寄付は無駄ではないことは強調させてください。先に述べたような戦争や紛争の状況下では、なおさら寄付金が傷ついた人たちに必要です。しかしユナイテッドピープルとしては舵を切る決断をしました。

「人と人をつないで世界の課題を解決する」ユナイテッドピープルの挑戦は続きます。ますます世界中の人々が共に平和に暮らせる世界をつくることへの想いは募っています。2014年から第二創業期に入りましたが、いよいよ映画事業一本となり、第二創業期フェーズが本格化します。映画や映像の力を最大限活用し、社会課題解決に最大限力を注いでいきます。

映画をよりよい未来の創造のために。

どうぞ引き続きよろしくお願い申し上げます。


Comments are closed.