「アートで世界を変えることはできるのか?」
これまで多くのアーティストがこの問いかけを繰り返し、
繰り返し自らに問いかけ、そして作品を作ってきたことでしょう。
戦争を止めるために。
貧困を撲滅するために。
環境破壊を食い止めるために…。
ピカソの描いた『ゲルニカ』は、反戦を訴える絵画として、
世界的に有名であり、反戦のシンボルとして今も国連本部に展示されています。
しかし『ゲルニカ』によって戦争は止まったかというと、そうでもない。
後世に戦争の悲惨さを伝える役割は果たしています。
「アートで世界を変えることはできるのか?」
この問に、真っ向から自らの作品で、答えを出している
現代アーティストがいます。
ブラジル出身で、ニューヨーク在住の現代アーティスト、
ヴィック・ムニーズです。アーティストが社会事業を行ったら何ができるのか、
彼は見せてくれます。
ニューヨークでアーティストとして成功したムニーズは、
故郷ブラジルに戻り、世界最大のごみ処理場で働く若者たちの人生をアートで
変えていくことを決意します。
「ほんの一瞬でもいい、別の世界を体験して欲しい。
日常を見直すだけでもいい。それだけで変わる。」- ヴィック・ムニーズ
ムニーズは、ごみ処理場で働く人々の巨大ポートレイトのモザイク画を
ごみを集めて描いていきます。そして制作したポートレートの写真を、
世界的に有名なオークションで販売し、そのお金をごみ処理場の生活者に
全額を寄付して次々と人生を変えていくのです。
目の前の現実を、アートで実際に変えていくムニーズは、
見方によっては、ピカソを超えた偉大なアーティストなのかもしれません。
なお、リオデジャネイロのMAMで行われた個展
「ピクチャー・オブ・ガベージ シリーズ展」は、
参加者数がピカソに次ぐ記録だったそうです。
作品例をご覧ください。
ムニーズの挑戦は、『ヴィック・ムニーズ / ごみアートの奇跡』
(原題:WASTELAND)というドキュメンタリー映画に記録されています。
この作品は世界中の映画祭で30以上もの賞を受賞した、感動作で、
第83回アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門のノミネート作品です。
監督はルーシー・ウォーカー。彼女は東日本大震災後に日本を
訪れて『津波そして桜』を製作。こちらは第84回アカデミー賞短編
ドキュメンタリー映画賞にノミネートされています。
なお、ムニーズ自身、震災後、世界中から集まった折り鶴
(200万個が38国から!)を使った作品を子どもたちと制作しています。
以前この作品のプロデュサーとご縁があり出会い、何度も何度も
繰り返し観てユナイテッドピープル配給の検討を長い時間をかけて
検討した結果、日本配給を決定しました。
アーティストに限らず多くの人にとって、ヴィック・ムニーズの
挑戦は、自分の周りの「世界を変える」活動のヒント、勇気、
行動のきっかけになると思ったからです。
そんなムニーズの奇跡の活動を追った作品、
『ヴィック・ムニーズ / ごみアートの奇跡』が、
7月20日(土)渋谷ユーロスペースでロードショーとなります。
どうぞ、公開をお楽しみにお待ちください。
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▼ごみアートで世界を変えよう!写真コンテスト開催!(2013/5/15締め切り)
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