今週末6月29日(土)からユナイテッドピープル最新配給作『シード ~生命の糧~』が劇場公開となる。

タネはすごい。タネは私たちに食糧を、綿花から衣服を、木からは住宅という恵みをもたらしてくれるかけがえのないものに違いない。

しかし、そのタネの多様性が急速に失われていっているという。予告編をご覧いただきたい。

米国ではタネの94%が20世紀中に消滅

ナショナル・ジオグラフィック誌がインフォグラフィックでタネの多様性の喪失を見事に表現しているのでご覧頂きたい。

20世紀中にレタスは497種から36種に。
ビーツ288種が17種。
トマト408種が79種まで減っていることが見て取れる。

タネの多様性がなぜ重要なのかって?

答えは簡単で、人類の生存のために、必要だから。

映画では、19世紀に起きたアイルランドでジャガイモ飢饉を例として紹介している。

「ジャガイモが疫病にやられ100万人のアイルランド人が亡くなった」
「ボストンに移住した人も多く電話帳にはアイリッシュ系の名前が多い」
「ジャガイモに多様性があれば飢饉を乗り越えられた」

もう一つ多様性が重要である理由がある。
タネの喪失は生物多様性の負の連鎖につながっていくからだ。
タネの失われると、そのタネからできる食べ物を主食とする動物も絶滅の危機となり、負の連鎖が続いていくということ。

国連報告書が世界に「警告」:100万種の生物が絶滅の危機に(2019年05月10日)
6度目の大絶滅。人類は生き延びられるか?

なかなか深刻な状況。生態系の多様性を守っていかなければならない。

あとは純粋に、いろんな種類の野菜がそれぞれあったら、楽しいですし、美味しいから!

©Collective Eye Films

タネを自家増殖すると罰金最大1,000万円、10年の懲役?

ところで日本はどうなのかというと、驚くべき状況となっている。

農家が自ら育てたタネを自家増殖(採種)し、そのタネを蒔いたら最大10年以下の懲役、1000万円以下の罰金(併科可、法人なら3億円)が課せられる可能性がある。一体なぜ、このような法律(種苗法)があり、その目的は何なのだろうか。

調べてみると、在来種や固定種の自家採種は可能としているものの、ここ数年で農家が自家増殖出来ない品目が急激に増えており、タネは種苗会社から買う以外の選択肢がなくなって来ている。具体的には2016年まで農家が自家採種できない品種は82品目 に過ぎなかったが現在までに356種に拡大。「すいか」「メロン」「だいこん」「トマト」「なす」等の自家増殖は、種苗法施行規則第16条により制限されている。わずか3年で禁止品目が4倍以上増え、農水省は、今後も禁止品目も増やしていくとしており、農家のタネの自家採種(増殖)が原則禁止になりつつある。なぜ、このようなことが起きているのだろうか?(※この理由については、日本の育成品種が海外流出した等の事情があり、品種を守る必要があるから。詳しい記事を論座で執筆予定。)

こうなると、農家は種苗会社からタネを買うほかの選択肢がなくなっていく。このままでいいのだろうか?ぜひ『シード ~生命の糧~』をタネのことを考えるきっかけにしていただきたい。


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