マレーシアから向かったのはアフリカの北西の国エチオピアだ。エチオピアは、旅の計画になかった訪問地だが、イスラエルに行くのに一番安いルートが、エチオピア経由だった。しかし、エチオピアは人類発祥の地といわれるエチオピアに興味を持ったのも確かだ。都合よくトランジット時間が8時間もあるので、エチオピアの首都、アディスアベバの街に出ることにした。

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ネットで調べるとアディスアベバは窃盗が多いらしく、気を引き締めないとならない場所のようだった。さすがに子どもたちとの4人旅なので身動きが重くなり、何かあったら逃げることはできない。安全最優先の旅なので、半日ツアーを現地の会社にお願いすることにした。ネット検索で見つかったのが、奥様が日本人の現地ツアー会社、エルミ・ツアー・エチオピアだった。空港まで出迎えてくれるから、これなら安心だし、エチオピア出身の運転手が終始ついてくれるのだから全く不安がなかった。

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事前にエルミ・ツアーにツアーを依頼するために、ネットでこのツアー会社のことを調べていると、社長夫人の古賀 美夕紀さんはTV番組、「世界ナゼそこに?日本人」に出ている方だった。この番組は、家族みんなでよく観ている番組だ。番組ホームページを観ると、病気の子どもを抱えながらも血のつながりのない貧困の子どもを育てているとのこと。せっかくなのでツアーの途中で古賀さんにインタビューしたいことを申し出たところ、快諾してくださった。

もろもろの準備が整い、クアラルンプールでエチオピアの首都アディスアベバ行きのエチオピア航空のカウンターで搭乗手続きをしたら、想定外なことにホテルのチケットを手渡された。きっと別料金でホテル代を請求されるのだろうと心配になって聞くと、無料だという。8時間もトランジット時間があるから、航空会社が負担するという。飛行機は、朝6時にアディスアベバに到着し、午後4時半のイスラエル、テルアビブ空港への出発だから日中のトランジット。そんな必要もないのに家族4人分、4部屋のシングルと食事付きという厚遇ぶりだった。ホテルの名前はグランドホテル。偶然にも、エルミ・ツアーの古賀さんから、ホテル名を言わないと、入国出来ないことがあるからと、パスポートコントロールで、言うようにと伝えられていたホテル名だった。

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幸運が続いた。アディスアベバ空港に着くと、アライバルビザを50ドルで取らねばならないはずだったが、これが無料だった。担当してくれた空港職員の女性に、200ドルと言われるだろうから、「安くしてよー」と、冗談を言って笑わそうとしていたのに、無料と言われて拍子抜け。でも嬉しい驚きだった。日本でいただいたお守りのおかげなんだろうか。実は、マレーシアでも、部屋がアップグレードされたり、ずっと幸運が続いていた。

アディスアベバ空港でのビザ発給については、どうも担当者次第らしく、以前ビジネスクラスで到着したとある日本人は、ビザ代を支払うと言っても入国が出来なかったそうだし、トランジットで、ホテルを用意してくれることも、いつもではなく、こちらから依頼して、やっと出てくる対応でもあるようだ。いや、もしかしたら、マレーシアのクアラルンプールからアディスアベバ経由テルアビブ空港に向けて出発すると、こういう対応をしてくれるのかもしれない。

もし、イスラエル・パレスチナに行こうと思うならこのルートが安くて、経由地も楽しめる最強のルートかもしれない。まずは羽田からエアアジアでクアラルンプールに行き希望日数滞在する。クアラルンプールからは、エチオピアのアディスアベバ経由でイスラエルのテルアビブ空港行きチケットをエチオピア航空で購入する。航空券はExpediaで簡単に買うことができる。こうすれば、イスラエル到着までの間に2ヶ国余分に楽しめる。エチオピア、アディスアベバの滞在を、安全に最大限楽しむには、エルミ・ツアーが最善の選択だろう。エルミ・ツアーにお願いすれば、6時間のアジスアベバツアーを、柔軟に組んでくれる。ドライバーは英語が話せるので、行く先々で英語で説明してくれる。今回はサミーにお世話になった。なお、2016年5月時点での料金は以下だった。

セダン(4名乗り)60米ドル
ミニバス(10名乗り)100米ドル
(運転手つき、燃料費込み、但しアディスアベバ市内のみ、走行距離が60キロ超える場合は超過料金がかかる場合あり)

さて、アディスアベバ空港に到着すると、まず以外だったのが肌寒いことだ。アフリカは熱いイメージしかなかったが、早朝だったこともあるけど肌寒く、マレーシア同様の半袖短パンでは辛かった。少々煩雑だったが、無事、入国手続きを済ませ、エルミ・ツアーとの待ち合わせ場所に向かった。しかし、上手く落ち合うことができずに、現地の人に携帯電話を借りて、電話して落ち合ったのだが、電話代を渡そうとしても受け取らない。最初にコンタクトしたエチオピア人が電話を借りたエチオピア人男性だったが、優しくて、笑顔で、ホスピタリティのある方だったので、とても好印象を最初から持ってエチオピアの旅がスタートした。

天気もよく、空が青々としていて空港周辺は空気も澄んでいた。空港周辺から街の中心部に向かう道中、様子を観察してみたが、襲われそうな気配は一切感じられず、来る前に思い描いていたイメージが覆された。

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大きな荷物はテルアビブ空港で受け取ることにしたので、少ない手荷物しかなかったが、まずはグランドホテルにチェックインして、朝食をとることにした。朝食は何を食べても、これまた意外なことに、美味しかった!鶏肉や魚のフライにピラフ。日本人に味付けが合うのだろう。そしてエチオピアコーヒーは、世界一美味しい!と叫びたくなるほど深みがあるコーヒーだった。ここ、エチオピアはコーヒーの発祥の地といわれているそうだ。

もうひとつエチオピアが発祥の地として有名なことがある。人類の発祥の地としてだ。博物館には、318万年前に生きていたというルーシーの骨のレプリカが展示されていた。ここから現代人はヨーロッパ、中東、アジア、そしてアメリカ大陸へと旅立っていったのだ。エチオピアでは、人類のルーツを感じることができる。これだけでも来る価値はあるだろう。

おバカな私は、人類のルーツ、アフリカのエチオピアと、再びつながるには、土を食べるのが一番いいだろうと、訳の分からないことを思いつき、土を食べたのだった…

博物館とマーケットを見た後、サミーに次に、「雰囲気がいいところでビールが飲みたい」と伝えると、中庭のあるレストランに連れて行ってくれたのだが、何とここが映画館Fitsum Cinemaと映画プロダクションを併設するシネマレストランだった!本業ユナイテッドピープルの事業と見事に直接的に関連する場所に、サミーは何を感じ取ったのか、連れて来てくれたのだった…。土を食べたのがよかったのか(冗談)。

ビールはどうでもよくなり、映画プロダクションのオフィスに行くと、ちょうどプロデューサーや監督が居て、交流することができた。出会ったFitsum Asjaw監督は、普段テレビ番組監督をしており、これまでに制作した劇映画は4本。いずれもフィクションの商業映画だった。しかし、短編ドキュメンタリーも作っているというので、観せてもらうと、現地アディスアベバのストリートチルドレンについてのドキュメンタリーだった。事務所の直前で生活する少年のドキュメンタリーで、彼は薬物依存症だが、将来はプロサッカー選手になりたいという夢を抱いているという。ここで出会ったのもの何かの縁。即座にこの作品の日本配給権を買うことにした。出会いというのは本当に妙なものだ。Fitsumは、いつでも日本に行くし、もしエチオピアで映画イベントがしたければ、何でも協力すると言ってくれた。

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Fitsumたちに昼食を試食しないかと誘われ、エチオピア料理とエチオピアビールを楽しんだ後(どちらも美味しかった!)、ここで長居したため、いよいよ時間がなくなり、ホテルで昼食を食べた後、エルミ・ツアーの古賀 美夕紀さんにインタビューするためにオフィスに向かった。

なぜ古賀さんはそもそもエチオピアに10年も暮らしているのか?彼女の人生を決定付けたのは、教科書で見たガーナで活躍するある日本人女性の写真だった。ガーナのために支援活動をする彼女に憧れ、いつかアフリカで彼女みたいに支援活動がしたい。その夢を、ここエチオピアで叶えていた。しかし、順風満帆であった訳ではない。人生の転機が訪れたのは、第二子が病気で生まれてきた時のことだった。熊本にお子さんを連れて帰り、必死で看病したところ、奇跡的に肝臓移植をせずに体調が改善。歩くことも、話すこともできないものの、今では一緒にエチオピアで暮らせるようになっている。忙しく、働いていた古賀さんを「一人の母親、一人の主婦に戻してくれたのがマナ」といい、「両親と過ごす時間を作ってくれたのもマナ」「周りからは大変ねと言われるけど、私たちにとってはいい機会をもらったと思う」とも。マナちゃんを授かったことから、その後、血のつながりのない貧困の子どもも預かり、面倒を見始めた古賀さん。その理由とは?

投資銀行から国際協力銀行(JBIC)や国連機関、世界食糧計画(WFP)や日本大使館で働いた華々しい経歴をお持ちの古賀さん。大きな支援から、目の前の誰かに愛を注ぐように考え方や行動が少しずつ変化していったようです。お金やかっこよさやスケールではなく、目の前の状況をよくしていくことを選んだ古賀さん。そんな古賀さんからは、深い愛情を感じました。いつか彼女が小学生の時に見たガーナで活躍する日本人女性の写真のように、今は彼女自身がなったのではないでしょうか。

動画インタビュー全編(37分)は、ユナイテッドピープル・ファミリーに公開しています。ご覧になりたい方はぜひユナイテッドピープル・ファミリーにご登録ください。

貧困の子どもたちをエチオピアで育てるエルミ・ツアー古賀 美夕紀さんインタビュー

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