40歳になったら一年世界を旅すると決めていた。2016年4月に出発し、2017年4月に戻った時、訪問した国数は30ヶ国を数え、パスポートのスタンプは押すところがほとんどなくなっていた。

アジアからアフリカ、中東、東ヨーロッパ、西ヨーロッパ、そして中南米へと進み、基本的には長い時間を最終目的地であるコスタリカで暮らした。


ラオス


パレスチナ自治区


トルコで出会ったシリア難民


サラエボ


コスタリカ北西部

コスタリカを目指し、長く住んだ理由は、21世紀の理想郷的な国で、その国家モデルを学び日本に還元するためだった。幸い近代から現代コスタリカの歩みをまとめたドキュメンタリー『コスタリカの奇跡 ~積極的平和国家のつくり方~』と巡り合い、日本で公開することになった。これからじっくりと、コスタリカからの学びを、この映画とともに伝えていこうと思う。

コスタリカに暮らして著しく変化したことがいくつかある。まず最初に平和観だ。これまで戦争と平和をある意味表裏一体として捉えていたが、コスタリカに暮らすと、そこには平和しか存在しない世界で、拍子抜けだった。平和しか存在しないコスタリカでは、豊かな自然が広がり、平和文化が花開いていた。人々は大自然と調和しながら生き、もうひとつは、時間感覚。コスタリカでは、時間の流れがゆっくりで、自然のリズムでゆっくりと人生を楽しむことが自然と出来たように思う。朝は鳥や猿の鳴き声で目覚め、暗くなれば早めに床につく。当たり前のように自然と暮らしが調和していた。

もう一つ言えることは、コスタリカに暮らして格段に健康になったということ。健康面も精神面も豊かな自然の中で豊かになったと感じた。精神面の豊かさは、きっとコスタリカの自然が与えるくれたギフトなんだろうと思う。肉体は見違えるとは言えないものの、まるで別人の体かのようになった。食べていたものがオーガニックなものばかりであること、水が良質なことも要因だろう。もちろん、毎日のように海に入っていた事も大きな要因だと思う。

コスタリカで挨拶や、さまざまな場面で使われる言葉がプラヴィダ(Pura Vida)だ。意味は、美しい人生や、純粋な暮らしといった意味だが、この言葉を挨拶だけでなくさまざまな場面で使う。毎日、誰かからプラビダと言われたら、気分が良いし、幸福度がちょっと上がる気になる。こういう挨拶からしてコスタリカ人は幸福度の高いのだ。まだまだ、帰国したばかりで、コスタリカでの体験を総括するには早いが、コスタリカに暮らすことができて、心からよかったと思う。


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